講師をしてくださったのは長年被災地支援に携わっておられるNPO法人 アナイス代表の平井潤子さん。
昨年秋、動物取扱責任者講習で平井先生の災害対策に関するご講演をお聞きし大変勉強になったので、再びお話が聞けるのをとっても楽しみに参加しました。
講演会が行われたのは横浜市開港記念会館。

お天気もよく春らしい陽気となった昨日。
途中に通った日本大通りの花壇はたくさんのお花で彩られていて、淡い色のチューリップが満開でした。

会場内には災害時に備えておきたいグッズの見本や、被災地の写真を中心としたパネルなどが展示されていました。

講演は先生の「もし今災害が発生したら、ご自宅で待っているペットは無事でしょうか?」という問いかけから始まりました。
出先で被災してしまったら、まずは自分が無事で帰宅できなければペットは守れません。
そして、災害が発生した時間帯により同行避難できるかどうかの割合は大きく変わってしまいます。
目標は家族全員が無事に避難し、そこに愛するペットも一緒にいて、みんなで災害を乗り越えていける状態がベスト。
そのためにはどうすれば良いか、過去の災害の事例、特に同行避難にスポットを当てて説明してくださいました。
まず、同行避難はペットを飼う人のためだけに行われるのではなく、地域の安全や公衆衛生のためにも重要であることが分かりました。
過去に同行避難が認められなかった地域では、どうしてもペットと離れたくないからと避難指示の出ている地域にこっそり残って生活する方がいらっしゃったり、自宅に残してきたペットが心配だからと立入禁止エリアに入ってしまったりということがあったそうです。
また、不妊去勢手術をしていない猫を置いてきてしまったことで大量繁殖してしまったり、犬が群れをなして凶暴化してしまったりという事例も多くみられたそうです。
では逆に、同行避難を100%受け入れ、人とペットが同居避難できる(同じ室内で避難生活を送れる)ようにしたらどうなるでしょうか?
避難所で一家族ごとに分け与えられた限られたスペースの中で犬や猫たちがずっとじっとしていられるはずもなく、ストレスは溜まる一方。
普段はおとなしく吠えない子も、怖い思いをしてナーバスになっていると、夜中皆が寝静まっている中吠え続け、夜通しワンちゃんの口を押えて周囲に謝り続けながら一夜を明かす飼い主さんもいらっしゃるのだとか。
また、避難生活の合間には自宅に荷物を取りに帰ったり、役所に罹災証明書を取りに行ったりと、ペット同伴ではこなせない用事も出てきます。
しかしながら、扉も柵もない人間の避難スペースにペットだけ置いて行くわけにもいきません。
そんな時、人間の避難スペースとは別に、ケージの中でペットだけで過ごせるスペースがあれば、夜は吠え声に気を使わず休むことができますし、出かける間避難所にいる仲間にお世話を頼むこともできます。
ペットを飼う人なら誰もが理想的と思うであろう“同居避難”にも、実はストレスやデメリットがたくさんあり、別室で避難生活を送ることのメリットに気づかされ、ハッとした瞬間でした。
続いては災害時への備えについてのお話。
一般的には3〜5日分のフードとお水の備えを…と言われていますが、もし横浜で避難生活を送らなければならないほどの災害が起こった場合、東京も甚大な被害となっている可能性が極めて高く、これまで災害支援の中心となっていた東京の交通や物流のマヒにより、物資支援はこれまでの災害より時間がかかることが予想されます。
そうなると数日分の備えでは足りず、特に投薬や療法食が必要な子は、1ヶ月分くらいの備えをしておいた方が良さそうです。
また、療法食はもしいつも食べているメーカーのものが手に入らなかった場合、他のメーカーのフードで同じ効果のあるもの、近い成分ものはないかどうか、確認して把握しておくのも備えの一つです。
さらに、フードやお水の備えと共に、ペットの飼育手帳(ペットのプロフィールや写真、飼い主やかかりつけ動物病院の連絡先、病歴などをまとめたもの)を用意されている方も多いと思いますが、先生はその情報を携帯電話にも残しておくことを推奨されていました。
ペットのプロフィールはメモ機能に入力しておき、ペットの姿を写した写真はもちろん、予防接種やワクチンの証明書、直近の健康診断の結果や飲んでいるお薬などもすべて写真に撮って保存しておけば、携帯電話が飼育手帳代わりに…手帳を作るのが面倒でも、これならすぐに実践できそうですし、情報を更新するのも簡単ですね!
最後に、避難が急を要する場合、ペットを連れて身の安全を確保するのが精一杯で、色々準備した避難グッズすら持っていけないということも充分考えられます。
そんな時、その場にあるものでどれだけ工夫できるかというサバイバル力も重要になってきます。
「いざという時、存分に“飼い主力”を発揮できる飼い主さんになってください」という先生のメッセージで、講演は締めくくられました。
講演終了後は質疑応答の時間。
こうした質疑応答の時間は、誰も挙手せず場内静まり返って終了…ということがよくありますが、昨日は時間いっぱいまでたくさんの方が挙手・質問され、愛するペットのために真剣に学びに来られている方が多いのだなと、嬉しくなりました。
折しも環境省による『人とペットの災害対策ガイドライン』が先月改定されたばかり。
ペットのための災害対策、同行避難・同伴避難のあり方や考え方も時代と共に刻々と変化しています。
災害対策は一度学んで終わりではなく、常に新しい情報にアンテナを張りながら、継続的に学ぶことが重要だなと、つくづく感じます。
我が家はちょうどこの週末避難リュックなど災害用の備えを総点検したところだったので、今日お話を聞いて足りないものを早速準備したり、加えたり。
点検中「私の大好きなごはんとおやつ、ちゃんと入れてくれた?」と、キキの厳しいチェックも入りましたが、無事OKをいただきました(^-^;

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